清算

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グラウンドに到着すると、この練習試合の主催者である桐瓔商業高校の監督が、入り口のところで次郎たちを出迎える。 「どうも栄光学院の皆さん。遠路はるばるお越しいただきありがとうございます。桐瓔商業高校野球部監督の石森(いしもり)です。今日はよろしくお願いします」 迎えてくれた桐瓔商業の石森は、歳は五十代後半で白髪混じりのベリーショート、やや縦長の顔でちょい悪オヤジ的な感じの、そこそこ背の高いおじさんだ。 石森は物腰柔らかそうに笑顔で言いながら、皆に向かって軽く頭を下げる。 「「よろしくお願いします!」」 村山含め、次郎たち全員が頭を下げて石森に挨拶する。 「村山さん、改めてお礼を言わせてください!本日は急な申し出にもかかわらず試合を受けてくださり本当にありがとうございます!」 石森はもう一度頭を下げて、村山に心から感謝を述べた。 「いえいえとんでもない。ウチみたいな弱小校が桐瓔商業さんのような強い高校と試合できるなんて、こちらこそ感謝しかありません。お互いにいい試合をしましょう」 強豪と試合したかった村山としては、今回は願ったり叶ったりの展開なので、逆に感謝の言葉を返すのだった。 「はい!お互いベストを尽くしましょう!試合は十時から始める予定なので、栄光学院の皆さんはアップを始めてください」 石森はハキハキと喋ると、先立ってグラウンドに入って次郎たちを案内する。 今日の試合日程は、第一試合目が栄光学院と剛南、二試合目が桐瓔商業と剛南、三試合目が桐瓔商業と栄光学院となっている。 (確か今回、本当は別の高校が来る予定だったが、一身上の都合によりキャンセルになって、そんでウチに白羽の矢が立ったんだったな。他のめぼしい高校は予定が決まっていたこと、あとは以前対戦した他県の高校の監督からの口コミで、今日の試合が実現したんだよな。ほんといろんな人に感謝だ) 村山は今日の試合が決まった経緯を思い出し、様々な人々に心から感謝するのだった。
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