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高代が限界を迎えたところでタイムをかけ、高代をマウンドから下げてライトの大矢をもう一度マウンドへ上げる。
空いたライトには一年の星野が守備に就く。
(出来れば回の頭から交換したかったがこればかりは仕方ない。本番の試合なら尾崎を上げるとこだが、今日は練習試合だから大矢に任せる。もしかしたら本番でこういった起用もあるかもしれんし、試しておいて損はない)
作戦の幅を広げるため、村山はあらゆる可能性を試しておく。
(高代のお陰で大矢も少しは休めただろうし、再登板でどういったピッチングを見せるか注目だな)
大矢がどれほどの余力を持っているか、ピッチャーとしての真価が問われるため、村山は腕組みをしてジッと見ている。
高代は一塁三塁のピンチを背負って降板したので、大矢はそれを引き継いでの難しい登板になったが、守備の助けがあってそれ以上の失点は与えずなんとか七回を凌ぐ。
ピンチの後にはチャンスあり、大矢と高代の気迫のピッチングに煽られ、打線も奮起して2点を返し同点へと追いつく。
しかしその裏、ここまでいっぱいいっぱいの投球をしていた大矢は、コントロールが甘くなって痛打されピンチを作ると、最後に犠牲フライを打たれてあっさり勝ち越しを許す。
1点ビハインドで迎えた最終回、どうにか追いつき追い越したかった打線だが、あと一歩及ばずに無得点で終了。
埼玉県ベスト16の剛南高校との試合は、5ー4と惜しくも敗戦となった。
(勝てなかったのは残念だが、大矢と高代で試合を壊さず作れたし、打線も離されず最後まで食らいつけた。尾崎抜きの試合で形を作れたのは良かった。欲を言うならば、木田以外にもう一人、打線の軸となる選手がいてほしいが・・・)
負けはしたが悲観する内容ではなかったので、村山は落ち込むことはなかったが、物足りなさは拭えなかった。
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