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(群馬の桐瓔市か・・・。確か塁がばあちゃん家があるとか昔言ってたな)
トイレに向かう途中、西本はふと昔のことを思い出す。
かつては親友でありライバルだったシニア時代のチームメイト、今は亡き川上塁の思い出がよぎった。
前に桐瓔商業との試合が決まった日、西本がボーっとしていたのは、地元である群馬という単語を聞くと川上塁のことが真っ先に頭に浮かんで、どこか切なくなり物思いにふけてしまったからである。
そのせいもあり、今日が練習試合の最後だというのに、イマイチ集中しきれていない西本だった。
そんなこんなで外に設置してあるトイレに到着し、四人は順番に用を足して手を洗い外に出る。
「さぁ、スッキリしたとこでアップ始めようぜ龍」
江夏は濡れた手を自分のユニフォームで拭きながら、先に出てトイレの横で皆を待つ西本に笑顔で声を掛ける。
「ああ」
西本は軽く返事をして、二人が会話をしている最中、一人の青年がトイレに入ろうとやってくる。
その青年はユニフォームを着ており、左胸の上のところに桐瓔商業という文字が横書きで小さく書かれていた。
「・・・龍?」
桐瓔商業の青年は江夏が放った言葉に反応しており、西本と江夏のことをジロっと見て、着ているユニフォームの袖口に栄光学院と書かれているのを見つける。
「お前・・・もしかして西本龍か?」
青年は西本の前に立ち、鋭い目で睨みつけながら尋ねた。
「ああ」
別に隠す必要はないので、西本は正直に答える。
「・・・やっと会えた。西本龍・・・いや、人殺しに」
憎しみのこもった目つきで青年が最後に放った衝撃的な一言に、西本と江夏の二人はただただ驚くしかなかった。
「ふ〜、おまたせ。・・・ってどうした二人とも?」
なんの事情も知らない亀田と城之内が二人より遅れてトイレから出てくると、二人の異様な雰囲気を感じ取り、西本らとその前に立つ青年を交互に見ながら尋ねる。
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