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四月━━━
今日は栄光学院高等学校の入学式。
桜が満開ならば最高だったのだが、春一番のせいもあり、やや散り気味なのが少々寂しさを感じさせる。
しかし新入生の門出を祝うかのように天気は快晴、気持ちのいい青空が一面に広がり、四月にしては気温が高めで、まさに最高の春日和。
どこからか小鳥の囀りが聞こえてきそうだ。
そんななか、一人の男は高校の門の前で立ち止まり、開校一年目の綺麗で立派な校舎を見上げる。
「いよいよ俺の高校生活が始まるのか…」
紺色のブレザーに青色のネクタイをして、手提げの黒いカバンを持った男は、本作の主人公である尾崎 次郎。
「おーい!尾崎ー!!」
後ろから次郎の名を呼んで、駆け足で向かって来るもう一人の男。
「おう木田。おはよう」
木田という男は同じ制服を身にまとい、同じ手提げの黒いカバンを持って、次郎の隣に来ると同じく校舎を見上げる。
「おはよう尾崎!いよいよ始まんだな!俺らの高校生活!」
木田が高鳴る期待を胸に笑顔で言う。
「ああ。さあ行こうぜ」
二人は門をくぐり学校の中へ入っていった。
靴箱で、持って来た上履きに履き替えて階段を上がる。
そして三階まで行き、一番奥にある"一年D組"という教室の前の扉を開けて入る。
もうすでに教室内には数十名の生徒が来ており、自分の席に座って携帯を弄るなどして、皆それぞれ大人しく過ごしていた。
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