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『一言で言えば雑用だな』
『‥あ,そうですか;』
どうも副長は苦手だ,とりょうは感じた。どういう人物なのか未だに掴めないでいる。
『まぁ慣れるまでは市村や総司,周りの奴らに色々聞きな。特に市村なんか常に暇を持て余してるからな‥』
からかうように土方は笑った。
『失礼な!;俺は土方さんにこき使われてそんな暇人じゃありませんよーだ!』
べーっと舌を出すと土方が気味が悪い程の笑顔で見つめてきたので鉄之助は慌てて部屋を出た。
普段無愛想な彼は極度にイラつくと怖い笑顔になるのだ。
『まぁ,気楽にやるがいい。だが仕事はしっかり取り組むんだぞ?』
『はいっ。ありがとうございます,近藤局長』
近藤や沖田の前では自然と笑顔になれた。
そんな様子を見ながら,ふと総司が口を開く。
『‥‥りょうさん,私の部屋分かりますか?』
『え‥?あ,はい。さっき着物を着替えた部屋ですよね?』
『ええ。‥では暫しその部屋に行って待っていてくれませんか?これからのことを私は近藤さん達と少し話してから行きますので』
近藤と土方は不思議そうに顔を見合わせた。
『あっ‥分かりました。では,失礼します』
頭を下げてからゆっくりと襖を閉めた。
(‥‥沖田さん‥笑ってなかったな‥)
そんなことをぼんやり考えながら一人廊下を歩いて行った。
『で,どうした総司。大事な話か?綺咲君を一人で出して‥』
『嫁にしたいとか言うんじゃねぇだろうな?』
『そんなんじゃないですよ‥』
ケラケラと笑う土方に呆れた顔で溜め息をつく。
『‥りょうさんを隊に入れて下さって有り難く思います。でも先生方は局中法度の存在を忘れているわけではないでしょう?』
『‥‥‥』
言われて2人共黙ってしまった。
『【─隊ヲ脱スルヲ許サズ─】破れば切腹。りょうさんが未来に帰る事が出来るようになったとしても,彼女だけ特別扱いを許されるとは思えませんが』
しばらく沈黙が続いた後,総司は部屋を後にした。
“その時は何とかするさ”
近藤も土方も今はまだそれしか言えなかった。
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