道標

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(─新選組‥私‥‥新選組になっちゃったんだ‥) 《─俺は日本史の中でいッッちばん幕末が好きでなぁ-!お前等、この前の大河ドラマ見たか!?俺ァあのシーンが大好きで‥‥─》 前に日本史の授業で先生が口にしていたことをその時の先生の口調や表情までもの記憶が頭に蘇る。 だが肝心の内容については──‥ (‥どんな話だったかなぁ‥) 頬杖をつきノートの端に絵なんて描きながら,なんとなく授業を聞いていただけだから全く覚えてない‥ 元々歴史にはあまり興味がなかったのだ。 しかしそんな何気ない日常の記憶さえ今ではとても懐かしいものに思えてくる 【─もう戻れないかもしれない─】 諦めた訳ではないのに,無意識のうちにそればかり頭をよぎるのだ。 (‥お母さん‥お父さん‥じぃちゃん‥‥陽奈‥‥みんな‥) 逢いたい‥‥逢いたい いつものように‥ 一緒に話して笑って‥ 『‥逢いたいよ‥みんな‥‥』 部屋の隅に体操座りをして小さく丸まると,消え入りそうな声でポツンと呟く。 と,静かに襖の開く音が耳に届いた。 『‥どうしました?具合でも悪いんですか?』 体を縮めながら視線を上げると総司が心配そうな顔で見つめていた。
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