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男は言葉と共に要に突進してくる。
そのスピードはまさしく異常
あまりに突然の事に反応しきれなかった要はその突進をあまんじて受けてしまう。
「うぉぉぉ!!!!!」
信人はほうこうと共に男に当て身ををかまし吹き飛ばしたあと要の腕を掴み逃げようとするが、要はその手を振りほどきこういった。
「信人、真琴と一緒に逃げろ」
「な、何言ってんだよ!みんなで逃げるんだよ!!」
「馬鹿、あいつのスピードは俺らより遥かに上だ、それにあいつの狙いは俺みたいだしな」
信人の抗議の言葉を無視し要は戦闘態勢に入る。
「くそ…絶対逃げてこいよ!」
「必ず無事で帰って来てね!」
二人が逃げたのを確認すると要は男に向かって跳び蹴りをかます。
信人の奇襲によりよろけていた男は易々と吹き飛び地を転がって行くがその反動を利用し飛び起きた男はお返しと言わんばかりに要に跳び蹴りをかます。
しかし今の要は完全に戦闘の準備が出来ているその程度の攻撃は返せないはずがない。
男の足を掴み地面に叩き付けた後すかさず「おぉぉぉ!!」というかけ声と共に男の顔面にかかと落としを喰らわせた。
鍛えられた者の全体重をのせた一撃、当然、男の顔面は無事な筈が無く完全に潰れている。
勝った----そう思った時だった。
突然腹部に焼けるような熱さを感じた。
最初は何が起きているのか分からなかった。分かっていたのは二つだけ。
腹部からおびただしい量の血が流れ出していることと-----自分は負けたのだということだけだった。
薄れ行く意識のなか男が立ち上がりうでを振り上げるのが見えた。
その腕は人間のそれとは明らかに違っていた。色は黒くかなり巨大なそのうで。
爪はまるでナイフのように鋭く尖っていた。
遠くの方で誰かが叫んでいるようなきがしていた。だが要の意識はその声の人物 を確かめる前に落ちてしまった。
深い深い闇の底へ--------------------。
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