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要と別れた信人は真琴と共に必死になって逃げていた。
あの異質な空間から。
「要、本当に大丈夫なのかなぁ」
真琴はべそをかきながら言った
「大丈夫だアイツはきっと今頃コッチに向かってきてるよ」
信人はできるだけ自分が泣きそうになっている事を悟られないように答えた。
彼は自分が許せなかった、あの時要に共に戦うと言えなかった自分が、逃げ出してきてしまった自分が。
「ねぇ、キミたち要くんのお友達?」
ドコからともなく声かけられる。声の先には腰まである長く美しい髪と、その髪に負けないくらい美しい顔立ちをした少女が佇んでいた。
「要くんはドコかな?まだ無事?」
続けて問う少女に対して真琴が答える
「あなたは誰!?今度は何なの!!」
「そんなに怯えないでよ~大丈夫、私はキミたちの味方だから私は要くんを助けに来たんだ」と少女は微笑みながら答えた。
「本当に味方なの?…本当に要を助けてくれるの?」真琴は瞳に涙を溜めながら少女にたずねた。
「うん、私が必ず助ける、だから安心して」
「お願いします!要を助けて下さい!!」真琴の瞳からは堰を切ったように涙が溢れでていた。
「わかってるよ必ず私が助けるから」少女はもう一度力強くそう答えた。
「要はこの先にいます。お願いします」
「わかった、ありがとうね」少女は微笑むと真琴の示した方向へ走り去って行った。
少女が走り去って行ったあと今まで黙っていた信人が「ヤベェ…惚れた…」と小さな声で呟いたのは内緒だ。
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