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要の体に男の凶刃が襲いかかるまさにその時だった。
男の腕が--燃え上がった。
突然の事で把握しきれなかったのだろう。一瞬の間を置いた後「ギャァァァァァァ!!!!!!!!!」と叫び声をあげ地を転げ回った。
「ダメだよその人いじめちゃ、私の大事な人だから」
凛とした声の向こうに佇んでいたのは先ほどの少女だった。
その声に反応した男は顔を上げる。
しかし上げたその顔は人間の物ではなかった。皮膚が焼けただれた人の皮膚の内側から明らかに人ではない物があらわれた。黒く角質化した皮膚、大きく裂けた口、鋭い歯、そして何よりも特徴的なのは頭頂部から生えた大きな二本の角だった。
「キサマ…鬼狩りカ…」
「そうだよ、知ってるんだ」
少女はあくまでも微笑みながら
だが体制はすでに臨戦態勢。
いつでも鬼にどんな攻撃でもできるようにしている。
「どうかな、ここは引いてくれない?キミも辛いでしょ、その状態で私と戦うのは」
「ククク…カノユウメイナ鬼狩りサマガニゲテモイイトイウトハナ、ソコマデ大切ナノカ?コノオトコは?」
「逃げるのならさっさと逃げろと言っているのだゴミが」今度は少女の足元から声が聞こえた。声の主は黒猫であった。
その黒猫のだす殺気は異常なものであった。
鬼も黒猫の殺気に気づいたのであろう。
すんなりと言うことを聞いた。
「…イイダロウ、キョウノトコロハヒイテヤロウダガワタシハカナラズソノオトコヲコロシニクルゾ鬼狩りドモ!!」
鬼がにげたのを確認すると、黒猫は少女に指示を出した。
「要の治療を頼む志乃」
「分かった、任せて」
志乃と呼ばれた少女は血で真っ赤に染まっているワイシャツを引きちぎり止血をしようとしたとき信じられないものを目にした。
あれだけ沢山の血が止まっており、それどころか傷まで塞がっていた。
「クロ…やっぱり…要くんは---」
「ああ、そうだ志乃、お前と同じで違う存在だ----」
志乃は悲しそうな表情で要の顔を見つめながら呟いた。
「要くん…私達が必ず守からね」
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