日常

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日常

 目覚まし時計特有の、けたたましい電子音が鳴っている。 「うぅ……」 と唸りながら彼、宮本要は目を覚ます。枕元に置いてある目覚まし時計をまだ開きっていない目で今の時間を確認する。 「え~、只今の時刻午前5時でございま~す……」別に誰がいる訳でもないのに只なんとなしに呟いてみる。 ちなみにこんなに朝早く起きているのにはちゃんとした理由がある。 別に学校が何時間もかけないと行けないほど遠い場所にあるわけでもなく、朝ご飯を作るのが彼の毎日の仕事。というわけでもない。 では何故なのか?その答えはドタドタと騒がしい足音と共にやって来た。 「かなめーー!!起きんかー!!朝だゴルァ!!」。 というセリフと共にに荒々しくドアを開け放った老人。彼こそが要の祖父であり要の住んでいる道場の師範の宮本次春である。 「要!!今日は朝稽古の日じゃぞ!さっさと起きんか!!」。 「じーちゃん…いい加減俺の部屋の目覚まし勝手いじるのやめてよ…」。 うんざりとした様子で要は呟いた。 「な~にを言っとるか!!そもそもお前がちゃんと起きれば儂だって何もせんのだ、それに万が一にでも儂に勝つことが出来たなら朝稽古は止めてやるといっとるじゃろうが。いつまで老いぼれ1人に勝てんおまえが悪いんじゃ」。と、言い切った。 「さっさとくたばれこのクソジジイ…」 そもそもこの爺さん。今年七十になると言うのに全く老いを感じさせない体つきをしている。 まったくボケる様子もなくしかも…「誰がクソジジイじゃ今日はこってりしぼってやるから覚悟しとけ」。 超地獄耳だ。 「ホレ、愚痴っとらんでさっさと用意せんか」。 「は~いはい分かりましたよお祖父様」。 要はこれまたうんざりとした様子で道場に向かって行った。
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