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稽古を始めてから一時間ほどがたとうとしていたときだった「爺ちゃん、もう直ぐ朝飯の時間だよ」
「む、もうそんな時間か、よし!今日の稽古は終わりじゃ」
「ふぅ、」とため息をついたあと風呂に入り汗を流すべく風呂場へと向かう。
風呂場に着いた要は蛇口を捻り冷たい水を頭からかぶり火照った体を冷やす。
ふと自分の体に刻み込まれた古傷に視線を落とす。
この傷が要が祖父の家に来た理由であり武術を始めた理由でもある。
一通り汗を流し終わった後、タオルで体を拭き制服に着替える。要は基本的に髪型には執着しない性格でワックスなどは使ったりはしない。肩あたりまで伸びた髪をただ乾かしただけですましてしまう。
汗を流し終え朝食を食べようと居間に行くとそこには祖父と女性がすでに座って朝飯を食べているところだった。
「あら、カナちゃんおはよう今日もずいぶん苛められたみたいね」
と優しそうな目が印象的な女性要の従姉妹の棗(なつめ)だった。
「おはよう棗さん、そうなんだよ全くこの爺さん手加減てもんを知らないからね」次春がおくってくる抗議の視線を無視しながら座って朝食をさっさと食べ終えた。
これが要の日常だった。
朝から祖父と稽古をし
風呂に入って汗を流し
美人の従姉妹の作ったご飯を食べ
学校へ行く。
そんな刺激は無いけれど幸せな毎日そんな幸せは崩される事は無いと思っていた。この時までは…
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