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「おかしいよこの字。難しすぎる」
「まぁ…昔使ってた字だからな。たとえば学校の学とかは…」
俺は紙上に学と,その隣に學を書き並べた。
「…ナニコレ」
「学校の学。昔はこんな字だったんだよ」
「へぇ…」
緋色は俺が書いた字をまじまじと見つめて感嘆のため息をもらす。
その目線を,俺にも欲しい。
「千里って物知りなんだね!大発見!」
今は俺だけに向けられているその眩しい笑顔に,俺の心は黙っちゃいない。
愛しい愛しい
いとしい,いとしい
心が叫びすぎてて
「…聞こえてないよな」
「なにが?」
「いや,こっちの話」
胸が痛むのは何故なのか
愛しい,愛しいと
心が叫んでる
いとしい,いとしいと
言う,心
「でさぁ,結局この字はなんて読むの?」
「コレはな…」
いとしい,いとしいと いう,こころ
そういう気持ちを
人は"コイ"と呼ぶのです
いとしい(糸)
いとしいと(糸)
いう(言)
こころ(心)
それが 戀 -コイ- .
END.
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