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  愛しい アナタが愛しい   (そういう想いを,人はなんと呼ぶんだっけ)   愛しい愛しいと 心が叫んでる   (あぁ,ソレは確か……)           机の上には紙と鉛筆。ひたすら同じ漢字が並んでいる紙を数秒眺めて,再び鉛筆を手に取り俺はまたその字を書き殴る。   「せ~んりっ!何書いてんの?」   緋色は突然俺の後ろに現れた。   「……漢字」   見て判らないのか,と言った風に呆れながら答える俺。   「え~じゃあ何て書いてんの?」 「さぁ?当ててみ」   俺は同じ漢字ばかりを書き綴った紙を緋色に突き出した。   「……いつくしむ?」   眉間にシワを刻み口をへの字に曲げて考え込んだ緋色は,ソレに似ている言葉を口にした。   「残念。いつくしむはこんな漢字」   紙を一端机に戻し,鉛筆で"慈"と書く。 緋色は"一緒じゃん"と笑いながら言って俺の背中にのっかかってきた。   いとしい   「こんな字ないよ~」 「いや,あるから」 「千里って漢字オタク?」 「違ェ」   いとしい    
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