第2夜【芽の出ない小説家】

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芽の出ない小説家が、右拳でカウンターを叩きつけた。 「くそっ!」 それを見て、右のこめかみに指をあて、体をボトル棚にもたれかけていたマスターが思わず怒鳴る。 「おい、何やってるんだ? 暴れるために酒を飲むなら、ガソリンでも飲んでおけ。 酒が可哀相だ」 「何で俺は売れない? いつまで、こんなところで張り付いていなければならないんだ?」 「質問は1つにしてくれ。 2つもいっぺんに答えられないよ」 男がピシャリと音を鳴らしながら、自分の額に右の手の平を置いた。 そのまま顔を上から下に撫でると、力が抜けたようにだらりと顎から垂れるように手を降ろした。 そして両肘をついて、カウンターにがっくりとうなだれた。
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