バックドア

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新宿はいつ来ても人が多い。何者でもない何者にもなれない人達で常に飽和状態だ。 その日は弟の子供に靴を買うべくやって来た。何も買う訳でもなく伊勢丹や丸井で夏物をチェックして、腹が減ったのでカプリチョーザでランチをとる事にした。 一皿一皿の量が多いこの店には複数で来る方がベター。 僕と嫁と、最近では家族のようにセットになっている。たっくんはたっぷりのイタリアンに舌鼓を打ち。 隣のテーブルで一枚が二~三人分あるのでは?というピザと同じく大量のパスタをモリモリ食べる二人の少女を眺めて楽しんでいた。 カードで支払いを済まし外に出ると少し夏を感じさせる強い日差しが差していた。 今年の夏は暑くなりそうだ。 伊勢丹の脇を抜け、靖国通りに向かう、地下鉄だろうか?キツイ日差しも関係なく工事は真っ最中である。 東京で工事の無い日って有るのかな? どこかが完成すればどかがボロが出てくる。そうして、少しずつの死と生の新陳代謝を繰り返す東京は「生物」なのかも知れない。 今日は東京の鼓動とも言うべき、アスファルトを砕く掘削機と、行き交う自動車の振動がやたらとお腹に響く。 嫌なリンクをしてしまった。 表面を必死に取り繕うかのように一緒にいる嫁と友達に冗談を飛ばして目的のABCマートへ急ぐ。 早く、この場を立ち去らなくては… 強烈な強迫観念に襲われた。
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