プロローグ

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 夜は彼らの時間だ。  日の光を猛毒とする、わけではない。単に彼らは夜を活動の時間としているだけだ。  彼らの知能は低いがその身体能力は人間のそれを遥かに凌ぐ。 その眼は獅子の如く獲物を捉えて離さず、 その耳は布の擦れ音も聞き漏らさず、 その鼻は猟犬でも嗅ぎ取れない臭いさえ感知し、 一振りで大木をなぎ倒す猛禽の爪を携え、 その醜悪なまでに人間から乖離した生物を、 人間達は『魔族』と称している。
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