太郎と次郎(1)

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「おやおや...また来たのかい...」 眼前に田んぼが広がる藁葺き屋根の一軒家。 二人の少年が農道を歩いてくる。 「だって...お婆ちゃんの話面白いんだもん!」 元気よく話し掛けるのは双子の兄,太郎。 「お前もそう思うよなぁ!」 隣でコク,コクと頷くのは双子の弟,次郎。 「相変わらず次郎は大人しいのぉ。」 そう縁側から話し掛ける老婆の横へ太郎が腰掛ける。 「こいつ...頷くしか出来ないから。」 笑いながらこう話す太郎の横へ,コク,コクと頷きながら次郎が座る。 「今日はどんなお話し聞かせてくれるの?」 太郎は目を輝かせながら老婆に問う。 「そうじゃなぁ...月のお話しなんてどうじゃ!?」 「聞きた~い!なっ!次郎!」 コク,コク
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