奈々

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ドクン‥ ドクン… 今にも心臓が破裂しそうだった 他から見ればこの挙動不信さは一目瞭然だろう。 手に持った参考書の下にCDを隠し、辺りを見回しながら‥ カバンにすべり込ませた! 後は一目散に店の出口へと向かうだけだ。 店の外では同じクラスの武内美紀と渡辺薫が、近藤奈々の出てくるのを待っていた。 しばらくして奈々が足早に店から出て来た。 「奈々、ちゃんと持ってこれた?」 渡辺薫が奈々に聞いた カバンを両手に抱えながら、奈々は下を向いたままだった。 「早くだしなさいよ」 と、武内美紀が奈々のカバンに手を伸ばしたが奈々はその手をかわした。 「あんた‥やって来なかったの?」 薫が奈々を睨み付けた 「私‥出来ないよ」 奈々は震える声でそう言った。 一度はカバンに入れたCDを戻してきたのだ 「あーつまんない。あのCD欲しかったのになぁ。」 武内美紀がわざと大きな声でそう言った。 薫と美紀は奈々を挟むと、どけよと言わんばかりに奈々を小突いた。 そのまま歩いていく二人を背に、奈々は泣き出しそうになっていた。
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