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家に帰ると、奈々は部屋に入り鍵をかけた。
駅前でブティックをしている母はいつも帰りが遅く、一人っ子の奈々はいつも母の分まで食事を作っていた。
奈々はため息をつきながら色々考えていた。
渡辺薫のグループに入らないといじめられる。
しかしいじめられるのが嫌でいじめる側のグループに入ったと、他のクラスメートからそんなふうに思われる事は奈々にとって、もっと嫌な事だった。
次の日、教室につくと何故かいつもより騒がしい事に気付いた。
「どうしたの?」
たまたま近くで喋っていた岬まおに聞いてみた。
「多香子のお父さん、自殺したらしいよ」
「自殺!?」
奈々は信じられなかった。
小松多香子とは中学の時から一緒で、良くグループの何人かで多香子の家に行っては宿題をしたり、泊まりに行ったりしたからだ。
その時に良く多香子の父とは良く会っていた。
「なんで?」
奈々は聞いてみた。
「‥多香子のお父さんの会社が倒産したみたい‥。」
まおが言った。
「…で、多香子は?」
「今夜お通夜だってさ。」
まおと話していた関口美和が口をはさんだ。
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