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「はい~みんな席につけよ~」
担任の若林が教室へと入ってきた。
教室中の者が小松多香子の父親の自殺について聞きたがっているのを察してか、若林の方から口を開いた。
「昨日の‥小松のお父さんの事故についてですが‥」
若林が自殺の事を事故だと説明した事は、小松多香子に対しての気遣いだとクラスの皆が分かっていた。
奈々は若林の説明を聞きながらずっと考えていた。
何故自らの命を絶とうとできるのか?
死んだ方が楽になれるのか?
「‥という事で今は落ち着いているからクラスのみんなにはくれぐれも心配しないで欲しいと、小松のお母さんから連絡があった。」
一通り説明を終えると若林は担任として忙しいのであろう、そそくさと教室を後にした。
再び教室がざわめく中、奈々の背後に渡辺薫が近付き
「奈々、放課後いつものコンビニな。」
奈々が戸惑った表情を浮かべていると
「まだそんな事させてるんだ。」
沢田美奈子だった。
「お前に関係ねぇだろ。」
薫は美奈子を睨んだが、美奈子はそんな薫をものともせずに
「あんたみたいなのがこの世からいなくなればいいのに。」
美奈子はロングの髪を胸元でさわりながら言った。
「もう一度言ってみろ!」
薫は美奈子に掴みかかろうとしたが、一時限目の数学教師の川田が「こらぁ何してる!」
と教室に入ってきた。
薫は美奈子を見ながら舌打ちをすると、自分の席へと戻った。
奈々は美奈子に対して小声で ありがとう。
と言ったが、美奈子は無表情に前を見ていた
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