追憶

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      「いー兄、少し話があるのですがいいですか?」   場所は駐車場、目の前には姫ちゃんと崩子ちゃんが仲良く飽きもせず剣玉で遊んでいるところだった。そこで後ろから萌太くんに声をかけられた。振り返ると、繋ぎの美少年はいつものように微笑んだ。この笑顔、世間一般の女子に見せれば「萌える」と言うのではないかと思う。尤もぼくには萌えるという感覚も解らなければ、女子でもないので気持ちはさっぱりだが。 しばしの間ぼく達は見つめ合っていた。その笑顔が困った笑いに変わった時に遅ればせながら気づいた。ここでは話しにくいことらしい。一体なんだろう。 「今から大学の資料集めに少しばかり本屋に行かなきゃならないんだけど、歩きながらでいいかい?」 「ええ。手伝いますよ」 資料集めというのは口実にすぎないが、この際手伝ってくれると言っているし萌太くんの好意に甘えて次に出されるであろうレポート課題の資料を買うことにしよう。
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