第1節

2/9
前へ
/253ページ
次へ
「………うぅ。」 リシャールは唸りをあげ、静かに瞼を開く。 瞳には明るい光が差し込み……光の中に動く人影が映り込む。 2つの影 その1つは、少年にとって見慣れたシルエットをしていた。 「………そこに居るのはイリアか?」 ボヤける影は、少年の声に反応して急いで駆け寄って来る。 「リシャール。目が覚めたの?」 イリアは心配そうな声で、リシャールの顔を覗き込む。 「………寝たままでお前を呼べるのかよ。」 「う……。寝言とかなら言えるんじゃない?」 「起きてる人間との受け答えは出来ないけどな。」 横になりながらハハっと笑うリシャールに、イリアは 「………イジ悪。」 と頬を膨らませてしまう。  
/253ページ

最初のコメントを投稿しよう!

954人が本棚に入れています
本棚に追加