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「すまない」
机に背を向けて立って居るためにラーディ主任の表情は見えない。
「何を謝っているのかよく分からない」
「嘘をついた」
「いつの嘘だ」
「『実験体行き』、そう言えば必ず引き受けると思ったんだ」
「その前から考えは決まっていた、お前が何を言っても気にしなかったと思う」
「念には念をが無駄だったな」
「無駄は良くない」
「悪かった」
「上司はどんな状況でも部下に謝らない方が良い、特にお前が謝ると虫酸が走る」
「そうだったな・・・。今日はゆっくり休め、明日からは安心して寝れないぞ」
「元より私は安心して寝る事が出来ない」
「俺のせいか」
「謝るなよ」
扉はいつもより重く感じる、振り向こうとする自責の念に抗いながら研究室へと戻って行った。
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