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先ほど使ったエレベーターとは違うエレベーター。鉄格子ではなく自動ドアの現代的な扉、壁はガラス張りで景色が良く見える。
「僕と話したって誰かに言った?」
やはり男も気付いていたようだ。
「いや、言ってない」
「良かったね、言ってたら色々質問攻めにあったよ」
「何故だ?」
「それは秘密、秘密だから秘密」
男には秘密がある。それを知ってはならない、知られたくない理由も知ってはいけない。そう解釈する。確かに初めて話した時も色んな疑問があった。しかし、だからといって秘密を探ってはならない。諜報とは秘密を管理する機関、秘密は探るのも守るのも仕事次第だ。
「僕の名前はウェルシュ、ウェルシュ・コーアン。よろしくねぇ」
「私は・・・」
「シェリルだったよね」
「あぁ、シェリル・フアナだ」
「シェリル・フアナ、か。可愛い名前だねぇ」
「馬鹿にしてるのか」
「とんでもない、本心だよ」
「そうじゃなくて・・・」
「怖い顔はしない、運命の再会を喜ばなきゃ」
「何が運命だ」
「ん~・・・、君って言葉遣いは悪いけど顔は綺麗だね」
「お前は見た目が大人びてるな」
「喋り方が子供っぽい?」
「子供だと思ってた」
「僕はもっと厳つい人かと思ってた」
「想像は当てにならないな」
「たった今、証明されたね」
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