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『恋』
怖い
とってもこわい
僕はあの時、そう、思った。
初めてだから
自分の心を勝手に揺れ動かされるなんて御免だから
違う顔を見てしまったからとか
言い訳をして
僕は
目を塞ぎ
耳を塞ぎ
口を塞いで
逃げた
本当は、知らない所で
音も立てずに壊れていって
それを僕のせいにされるのが
―――一番、怖かった。
君と向き合うのが怖かった。
自信もなかった
君の全てを支えられるのか
君の辛さに気付かなかった僕を
君が見つめてくれるのか
こんなにも大きな気持ちが
僕自身も気付かない内に
果てなく大きくなって……
まるごと不安に変わったソレを
僕は受け止めきれなかったんだ
『もし』
『君があの頃』
『泣いてくれていたなら』
そんな事を考えて
涙が溢れる――……
僕はもう、君に
恋をしていないのだという
証拠の様な気がして
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