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「………」
僕の血は、真っ赤で綺麗だった。
白い廊下は、あっという間に僕の色で染まる。
「信吾?大丈夫か!?」
武人君が、僕に言った。
大丈夫だよ。
自分でしたんだから。
「馬鹿野郎!保健室行くぞ」
「あ、うん」
家族以外に怒鳴られたのは、はじめてだった。
保健室で手当てをして、また片付けを再開する。
武人君も手伝ってくれた。
僕の流した血は、やっぱり猛獣達が流した血と同じように色が変わりはじめていた。
同じなんだ、と思った。
「なんで、あんなことした?」
「血がさ、綺麗だったから」
「さっきまで…あんなに怯えてたのに。お前も猛獣だな」
違う。
僕は、小動物だよ。
知ってる?
強い猛獣しかいない場所に、たった一匹小動物が置き去りにされたら。自ずと自分で猛獣になろうとするんだ。
それ、野生の本能なんだって。
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