僕と弟

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夜になったら、僕は必ず外へ出かける。別に用事はないけど、ただブラブラと歩く。     「兄貴…」 「信次…」     二つ下の弟、信次だった。   僕がどうしたの、と聞くと信次は戸惑ったように。話がある、と言った。     「兄貴、俺百虎に行こうと思うんだ」 「そう」 「で、一年でも兄貴の力になりたいんだ!」 「ありがとう、信次」     信次は、屈託なく笑った。       そしてその次の年。 信次は百虎男子高校に入学した。   もしもあの時。 あの夜。 僕が信次に、百虎男子高校に来ないでって言っていたら。僕は大丈夫だと、言えていたなら。   弟に、絶望を味合わせなかったかもしれない。   今僕は、ひたすら思う。         .
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