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骨董屋の店主は、女だと云のに名を梅ノ助と言った。
まるで芸者のようだと思いつつ、長くなる雨を思い、軽い自己紹介をした。
すると店主は『うちは人形メインのしがない骨董屋…』と呟きながら周りを示す。
その指先に導かれるまま、周りに佇む人形達を見据え耳を済ませると、確かに何かが耳に焼き付いた。
言葉と云うより音だろうか。
私は、美しい巻き毛の少女人形と、その周りに寄り添う様にいる人形達が気になった。
その事を梅ノ助に伝えると、彼女は喜々として語り始めた。
そう、彼女達は日本より遥かに遠い、オーストリアの吸血鬼だと…
私は梅ノ助が紡ぐ言葉を、お伽話をせがむ幼子の様に、胸をときめかせて聞いていた。
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