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「原因?何がいいんだ?」
「うん、向こうに好きな男ができたことにしてくれるとありがたい」
「そうか、じゃあ、それだ」
「横着するない。ま、いいや。でもな、そりゃあ、お前が悪いんだぞ。うん、悪いんだ。この悪党!この腐れ外道め!」
「何だよ、振られた上に、悪人にされちゃかなわないな」
「そうじゃないだろ、その次に言うのは」
「何言うんだよ」
「全くニブいやつだなあ。あっ、もうボケてやがら、話聞いてなかったんですか。向こうに好きな男ができたんですよ、とこう言うんだよ」
「そんなことわかるもんか」
「頼むからそう言ってくれよ」
「わかったよ、よし、言った」
「何も言ってないじゃないか」
「言ったことにしといてくれ」
「ホント、横着者だな、お前は。ま、今回だけは許してやろう。こいつはわしが70年間生きてきた上での哲学みたいなもんじゃが…」
「70年て、お前まだ、21じゃないか」
「うるさいな、ちょっと黙って聞けよ。えーと、どこまで話したっけ」
「お前が70歳ってとこまでだよ」
「うん、俺は70歳。…、70歳!てめぇ、何てこと言いやがる。俺はまだ21だ!」
「いてててて、いちいち殴るなよ。自分で言ったんだろ」
「あ、そうか」
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