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「だいたいね、向こうの方から付き合おうって言ってきたんですよ。それなのに、何で僕が振られなきゃならないいんですか?なぁにが、『いいお友達でいましょう』だ!ふざけんなっての!デートの時だって、いつも、俺が金出して…。ま、それはこっちが男だから、いいとしよう。でも、やれ、あれがほしい、だの、これがほしい、だの、さんざん買わせといて、なぁにが、『あなたとはもう付き合えない』だ!なぁにが、『私よりもっといい子が見つかるよ』だ!冗談じゃない!」
「うぐぐぐぐ、苦しい…」
「あ!すいません、首しめちゃった」
「ぜぇ、ぜぇ。あ~、死ぬかと思った…」
「ま、それもじきでしょう」
「何だって!」
「あ、いえ、何でもないです」
「それにしても君は興奮しやすいな」
「はぁ、手近なところにあったんで、つい…」
「間に合わせで、首しめられたんじゃ、たまらないな。見ろ、ばあさんまた驚いて、ひっくり返ってる。ばあさんや、大丈夫かい?」
「やぁ、起き上がった。まったく、人生、七転び八起きですね」
「君が言うない!ま、いいだろう。しかしあれだな、そりゃあ、君が悪いんだよ」
「あれ、やっぱ、ボケてやがら。何言ってんですか、向こうが振ってきたんですよ」
「失敬な!わしゃ、まだボケちゃおらん。ほれ、バック宙だってこの通り」
「バック宙って、何もしてないじゃないですか」
「そのくらい気は若いってことじゃよ」
「だっていいですか、向こうが『付き合ってください』って、言ってきたんですよ。それなのに、何で僕が振られなくちゃならないんですか!だいたい、あの女は、身勝手なんですよ!いつだってそうだ!くそ!!」
「ウグググググ、ぐ、苦しい…」
「あっ!すみませんすみません、また、首しめちゃった。どうも手ごろなところにあるもんで、つい…」
「ふぅ、これじゃ、いくつ命があっても足りんよ」
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