甘い時間の始まりは

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「疲れましたか?みちる」 ..ふるふる... 「サキと千佳は騒がしかったでしょう?」 ..ふるふる... 「...みちる」 喜一さんは私の名前を静かに呼んで車を止めた 「..なにかあったんですか?」 ..ふるふる... 「俺の目を見てください」 俯いていた私の顔を優しく自分の方に向けると喜一さんは目線を合わせた 「...なにかあったんですね?」 その目が その声が 我慢していた涙を溢れさせた 「..ッ私...喜一さんが好きです..」 「..何を言い出すかと思えば...」 一瞬驚いた顔をした喜一さんはそう言って笑いながら私の涙を大きな手で拭った 「でも..ッ」 「でも?」 「..自信がありません...」 こんなことを言うなんて我が儘だとわかってる こんなことを言うなんてまだ子供だとわかってる だけどどうしても思ってしまう 喜一さんの口から喜一さんのことを聞きたかった、と
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