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「えッ!?違うんですかッ!!?」
どうやら尾崎さんはツボに入ったらしく目に涙を浮かべながらヒーヒー言っている
「ちッ違..ありえないから...」
「でもあんなに仲良しで..」
「そりゃ俺達は生まれたときから一緒だったからね」
涙を拭きながら尾崎さんは答えた
「要はもちろん大事だけど俺の1番大事な人は別にいるよ」
少し照れながら
けれどその人が頭の中に浮かんでいるのだろうか
とても愛おしそうに笑って
喜一さんのことを想う私もこんな顔をしているのだろうか
..そうだといいな
「...隆之介さん....」
後ろから聞こえた可愛らしい声に振り向くと
その小さい体には似つかわしくない、大きな黒いプラスチックケースとバッグを持った女性
サラサラの黒髪を巻いて小動物のような大きな目はウルウルしていた
「か..柑奈...」
「..その方はどちら様ですか...」
「いや!違うんだ柑奈!!みちるちゃんは...」
「隆之介さんの馬鹿―――――ッ!!!!」
そう叫んで彼女は来た道を走って戻っていってしまった
「アレ、俺の大事な人」
尾崎さんは困ったように笑って走る彼女を追いかけていった
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