アナタと私とオムライス

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お昼時だからなのだろうか 【Peace!!】と言えど廊下にも部屋にもあまり人がいない 物寂しい気もするが 今の私にとってそれがとても助かる 泣き顔を見られなくてすむから 「...ッぅぐ....!」 廊下に面したドアのない小さな小部屋に駆け込み、壁を背に声をかみ殺して泣く ヤカンやらポットやらいくつかあるからこの部屋は多分給湯室だろう 幸い誰もいない 「ッう~・・・・」 ズキズキと心臓が痛い なんて 自分がいけないのだが 料理のできない妻なんて邪魔なだけ きっと愛想を尽かされたのだ 明日香さんは料理が上手らしいし 見習えと言われているようで ...と言っても喜一さんがそんなつもりで連れてきたわけじゃないのはわかっている わかっているが、痛い 「..お弁当..ムダになっちゃったな」 自嘲気味に笑い、弁当を広げて呟く 我ながらうまくできたと思ったんだけどな ...見た目だけは 「...早く戻らなきゃ怪しまれるよね」 すくっと立ち上がって目の前にあったゴミ箱を取る 「...ごめんね」 弁当に向かって謝り、弁当箱を傾けた
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