АМ6:00

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古臭いグローブを持って爆走する。 目的地ははっきりしている。 走ると耳元で聞こえるブォン、ブォンと風の音。風を切り裂いているようでこの音も好きだ。 今は朝早いし人もまったくいない。 古ぼけた商店、錆び付いた鉄製のビルや家。 もう少し時間が経てばボロボロのスクーターに乗った配達員や、訳の分からない遊びをする子供たちに、噂話が大好きなおばちゃんたちが顔を出す。 この街の顔は昔から変わらない。 でも、ガラッと表から裏へひっくり返るように180度変わってしまったものもある。 この大きな街の中心には奴らの巨大な会社(工場)。その会社は天にまで届いてしまいそうな高さで、上には真っ黒な空に人工の太陽。 それから……この街の人格。 奴らが変えてしまったんだ。 「なにもかも全部アイツらの所為だ」と、いつも押しつけてしまう自分がいる。 しばらく走っていると古い5階建てのボロボロのビルが見えてきた。 今は使われなくなっているいわゆる廃墟だ。 周りをキョロキョロ見回す。 端から見たら不審者っぽいだろうか。 これからあまり他人には知られちゃいけないところへ行く。 だからしょうがない。 素早くビルの入り口に入って行き、一気に階段を駆け上がっていった。 俺らの秘密基地へ。
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