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その時僕は色々な事を考えていた…だが色々と考えていたはずなのに…何一つ思い出せない。
ここが何処なのか、なぜここに居るのか、はたまた自分が何者なのかさえも思い出せないのだ。
そして、ついには思い出せそうかと思うと悲痛な位の頭痛が襲って来た。
それからしばしその場で、もの思いにふけっているとすぐ近くの家の窓が開き、中から人が声をかけてきた。
「おや、あんた目が覚めたんだね。待ってな、今そっち行くから」
威勢の良さそうな女性が、何故か小声で話しかけてきた。そしてその女性は、裏口らしき所から出て来て僕の前に片膝をついて話しかけてきた。
「あんた、うちへ来な。…歩けるかい?」
僕は、その場で立とうとしたがどうやら左脚をケガしていたらしく痛くて立ち上がれなかった。
すると、女性がさっと肩を貸してくれて家の中へと連れて行ってもらった。
家の中は、お世話にもキレイとはいえ言えないが、ベッドのある二階へと僕は連れて行いかれ、そのままベッドに横にならせてもらった。
「なぜ助けてくれるんですか?」
「困った時はお互い様だよ」
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