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かたかたと印を組んでいる手が震える。
「っ…サバラバジ……」
歯を食い縛り、呪文を唱える。
亀裂は後少しで塞げる。だが、その小さな隙間から巨体な鬼が出ていく。
それを蒐の風が斬る。
それでも蒐の脇をくぐり抜けていく奴もいる。
季里阿は札を構えた。
「……吽!!」
最後の隙間に札を投げつけた。
亀裂に触れた瞬間、青白く光り、亀裂は跡形もなく消えた。
「……はぁ」
季里阿はかくっと膝をついた。
まだ万全ではない体でしたせいか、倍疲れた。
「大丈夫か?」
「まぁね。それに、まだ終わってないしね」
乾いた笑みを浮かべ、遠くの場所を見た。
鬼が集まる所に駆け付けた暁達は、目を見張った。
「これは…!」
ごろごろと屍が転がる中、陽飛が舞っている。
「こないな数を一人で…?!」
榊は驚くしかなかった。
「正確には三人だよ」
ばっと後ろを向けば、蒐に支えられた季里阿がいた。
「まさかここまでとは思わなかったよ。ボクは大変な人と殺り合ってたって事だね…」
季里阿は札を数枚手に持つ。
「それにしても、まるで闇衣を着た夜叉だねぇ。恐ろしいよ」
等と呟いて、鬼の中に飛込んでいった。
「人間に遅れはとりたくないですね」
それに続いて、四季の精霊も乱入した。
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