過去=季里阿の恨みと辛さ

7/12

493人が本棚に入れています
本棚に追加
/350ページ
    季里阿はさっきまでいた林の中を走った。 『この先って…』 祠があったはずだ。 前に近付いた時にすごい寒気を感じて寝込んだ事がある。 それ以来近寄らなくなったし、注意も受けた。 『あの中のを出しちゃ…っいけない…!』 更に速度を上げた。 『季里阿!待て!!』 『邸に戻ろ!!』 二人が横についてきた。 そして、季里阿の道を塞ぐ。 さすが修業しているだけある。 『母さん達がやろうとしていることを止めないといけないんだ!!』 『何言って…』 その瞬間、すごい衝撃が地面を伝わって、季里阿のもとに届く。 三人は突然の事に尻餅をついた。 『な、何?!』 季里阿は祠の方を見た。 巨大な手が見えた。 ぶわっと今までに感じた事のない妖気。 『っぁ…』 『ぁぅ…っ』 朱と晴也が地面に崩れる。 『朱ちゃん?!晴也くん?!』 焦るしかなかった。 『妖気で…』 季里阿は巨大な手の方に走った。 『母さん…!』 近付くにつれて辺りが暗くなっていき、妖気も強くなる。 『うわっ!!』 つまずいてこけた。 『!!、邸の人…!』 足に当たったのは見知った顔の者だった。
/350ページ

最初のコメントを投稿しよう!

493人が本棚に入れています
本棚に追加