過去=季里阿の恨みと辛さ

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この人も妖気に当てられたのだろう。蒼白な顔で倒れていた。 「早くしないと死んじゃう!」 季里阿は痛い膝を堪えて、両親を探す。 地響きがすごくなってきた。 封じられていた化け物が地面から這上がろうとしているのだ。 「……いた!!」 一弥の姿を発見した。 ただ、茫然と立ち尽くしている。 「父さ…、!!」 季里阿は目を見開いた。 一弥の足元に崩れている女性を見てしまったからだ。 「か、母さん!!」 すぐさま駆け寄る。 そして、信じられないものを見た。 紗智の胸元を一本の剣が貫いていた。 その柄は自分で握っていた。 「あ…あぁ…!」 季里阿は立ち尽くす父親を突き飛ばして、母親にすがりついた。 もう息はしていない。 「…なんで……なんで!父さん!!」 一弥は沈黙のまま。 答えたのは別の声だった。 「この鬼、鬼殺の封印を解くには一人の犠牲が必要だった。 誰がやるかと聞いたらお前の母親がやると言ったんだ」 この状況でなんて冷静なと季里阿は女を睨んだ。 女はもろともしない。 「この鬼殺さえ操れれば死神は滅びる。 お前の代まで復讐を続けさしたくなかったんだろうな」 「……」 季里阿は紗智の顔を見た。 こんな事されても嬉しくもなんともなかった。 父にはこの鬼殺は操れなったに違いない。 「……母さんがやったことは…」 墓穴を掘っただけだった。 結局、巻き込まれる事になる。 「そこの人…」 「珠璃だ」 「…珠璃さん、鬼殺はどう式にするの?」
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