過去=季里阿の恨みと辛さ

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珠璃がにやりと笑ったような気がした。     子供がこの道に堕ちた。 喜びを噛み締めながら、札を渡した。 「あれを今扱えきれない。だから、いったんこの四枚の札に封じ込めろ。私が結界を張るから」 「ありがとうございます」 季里阿は頭をフル活動させて、封じ込める術を思い出す。 「不動の神の意に赴いて……」 珠璃の術が始まった。 鬼殺はまだ出きれていない。 「封禁!!」 鬼殺の周りに結界が出来た。 「私は霊体だ。昔のような力もない。長くは持たない」 「だいじょうぶです」 季里阿は前に出た。 四枚の札を円を書くように地面に張る。 「魔境に目覚めた者あらば……」 思い出して一つひとつ紡いでいく。 「禍者よ禍者よ、ここに封ずる!」 大きく息を吸い込んだ。  フウマンショウキン 「封満将禁の法!!!」 鬼殺の体が黒い闇になって、札の円の中に吸い込まれていく。 円の中は別空間。この円を作らない限り、鬼殺は反永久に出てこれない。 しゅるんと完全に闇が吸い込まれた。 札を素早く取った。 「ぅ…」 いきなり眩暈に襲われた。 ふらついた体を珠璃が支えてくれた。 「霊力の使い方がなってないな。これからみっちりと教える」 死神がしたこと、復讐のやり方。そして、殺し方。 そう、全てを。   季里阿は唇を噛んだ。 これから教えさせられる事は、母の言葉に背く事になる気がした。
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