終焉

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足の布が取れた。 安心してほぅと息を吐き出す。 「外側だけだ。肉が盛り上がるまで絶対安静」 「…はい」 「多分ばい菌も入ってるだろうから、今夜辺り熱出るよ」 朔は淡々と語る。 「そ、そんなぁ…」 「朔や環のは皮膚を治すのと痛み止だけや。あとは豐任せやな」 李无がからりと笑ったが、まったく笑い事ではない。 「俺には姫羽様の様な力はないからな」 悲しげに伏せられた目は、白剣に向いていた。 陽飛ははっとした。 そうだ。もう姫羽はいないのだ。 「……ご、めん」 「謝るなら四季の神に謝れば。あの人達は兄弟である人を亡くしたんだから」 と言って、朔は立ち上がってどこかへ向かった。 「朔には慰めというものを教えやななぁ」 まとめる者として困った李无は頬を掻く。 「いいよ。悪いのは俺だし。それより……」 視線を移動させた。 まだ目覚めていない季里阿を囲い、戸惑っている四神。 「そうだ。裏の力封じないと…、!!」 肌がぞわりと逆立つ。 少し離れた場所に動く小さな物が目に入る。 それはぼこぼこと形を作ろうとしていた。 「まだ…!」 「おわっ?!」 李无を押し退け、陽飛は走り出した。 物体も動き出した。ぼこっと鋭い歯が生えた口が季里阿に飛びかかった。 「?!」 四神も気が付いたが遅い。 ぶしゃっと辺りに血が飛び散った。
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