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「っ…!」
陽飛は白剣を振り落として、鬼殺の肉片を斬った。
「いつぅ…!!」
陽飛は左腕を押さえた。
肘から下が無い。
あまりにも唐突過ぎて、辺りはしんと静まった。
それを打ち破ったのは一拍遅れた悲鳴。
「は…陽飛ぃ?!!」
网菜が顔を青くして、駆け寄る。
近くにいた環がすぐに治療を行う。
四神は茫然と陽飛を見る。
「四季の精霊!肉片を跡形もなく滅っせ!!一片も残したらあかん!!」
李无の指示を受け、精霊達が散らばる。
「陽飛!!」
[何馬鹿な事してんのさ!]
「大丈、夫だから……落ち着け」
慌て過ぎている网菜と髏雨をなんとかなだめようとする。
[あー…ヤバい。俺、腕なくしちまった。双剣使えねぇじゃん…]
何故か酷く落ち着いていた。
我ながら不思議だ。
[何呑気に…!!頭イカれんじゃない?!]
[失礼な…]
こんなに焦る髏雨は見たことない。
何だか妙に感心してしまった。
「血は止まったし、傷も塞いだよ。でもなくなった腕は……」
環がうなだれた。
「これだけで充分。早くしてくれたお陰であんまり痛くなかったしさ…」
環を励ましながら、周りを見た。皆顔が青い。
「お前、大丈夫なのか?」
荼清が聞いてきた。
「まぁ、それなりに…」
なんというか、腕を捕られるのは酬いだと思った。
もともと死ぬはずだったのだ。一人を犠牲に生き延びが。
それに比べたら、腕一本くらい別に構わなかった。
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