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「でも、傷口は見えない方がいいよな……」
陽飛は上着を破いて、腕に巻く。
一日で新しい服をぼろ切れにしてしまった。
「さてと…」
陽飛は季里阿を見下ろした。
「何をする…!」
朱と晴也が警戒をする。
剣を持ったままというのが悪かったのか。
「裏を押さえるんだ。このままだと力が暴走して、大変な事になる」
「大変な事…?」
「殺戮を起こす」
四神の顔色が変わった。
陽飛は静かに説明して、膝を折った。
ぶわぁとオーラが増幅した。
裏が警戒したのか、オーラが陽飛の頬を舐める。
[仕方ないもんなぁ]
[季里阿は鍛練もつんでないし、生きているからね…。で、やり方は?]
「…んー…」
陽飛は白剣で、季里阿の右手首を浅く切った。
ぐるりと手首に血が一周する。
リコンフウサ
「裏魂封鎖」
血が網目を作り、鎖になった。
そこにオーラが吸い込まれていく。
季里阿が息を詰めた後、瞼が震えた。
「ぅ…」
「季里阿!!」
要と朱の声が重なった。
「目覚めたかぁ…」
晴也が息を吐いた。
仄は無言で季里阿の着物を握った。
「……?」
よく状況が掴めていない季里阿は首を傾げた。
そこに、朱蛇螺が現れた。
「戦う気がないなら城へ。軽傷者は町で動けない者を。重傷者は直ちに医務室に運べ!」
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