終焉

7/20

493人が本棚に入れています
本棚に追加
/350ページ
      「くあっ!!!」 医務室から悲鳴が響く。 「我慢してください。何で剣を抜いてこないんですか!」 豐は怒りながら、零の胸に刺さった剣を抜く。 「もうちょっと、丁寧に…!内臓に傷がぁ!!」 余程痛いのか、零にはいつもの余裕がない。 「男なら喚かない!!」 豐は乱暴だが慎重に剣を抜き取った。 胸と背中にガーゼを当て、何重にも包帯を巻く。 「幸い、出血も少ないのですぐ治るでしょう。まったく、大袈裟そうに見えて大した事ないんですから」 「酷いねぇ…」 零はYシャツを着ながら泣くふりをした。 「災難だったなぁ零」 蕾がからかう。 「ホントにな。怖い医師がいたもんだ」 晴也が笑う。しかし、豐に睨まれ即座に引っ込めた。 「誰のせいだと…」 「俺はお前の注文に答えただけだ」 「くっ」 零が悔しそうに顔を歪める。 「気が合うね…二人とも」 全身に包帯を巻かれ、ベッドに寝ている楓兒が微笑んだ。 「まったくだ。あんな零は見たことない」 灰斗がくすくすと笑った。 「次、灰斗さん。あなたの番ですよ」 豐に呼ばれた瞬間、灰斗の顔は一気に青白くなていった。
/350ページ

最初のコメントを投稿しよう!

493人が本棚に入れています
本棚に追加