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「くあっ!!!」
医務室から悲鳴が響く。
「我慢してください。何で剣を抜いてこないんですか!」
豐は怒りながら、零の胸に刺さった剣を抜く。
「もうちょっと、丁寧に…!内臓に傷がぁ!!」
余程痛いのか、零にはいつもの余裕がない。
「男なら喚かない!!」
豐は乱暴だが慎重に剣を抜き取った。
胸と背中にガーゼを当て、何重にも包帯を巻く。
「幸い、出血も少ないのですぐ治るでしょう。まったく、大袈裟そうに見えて大した事ないんですから」
「酷いねぇ…」
零はYシャツを着ながら泣くふりをした。
「災難だったなぁ零」
蕾がからかう。
「ホントにな。怖い医師がいたもんだ」
晴也が笑う。しかし、豐に睨まれ即座に引っ込めた。
「誰のせいだと…」
「俺はお前の注文に答えただけだ」
「くっ」
零が悔しそうに顔を歪める。
「気が合うね…二人とも」
全身に包帯を巻かれ、ベッドに寝ている楓兒が微笑んだ。
「まったくだ。あんな零は見たことない」
灰斗がくすくすと笑った。
「次、灰斗さん。あなたの番ですよ」
豐に呼ばれた瞬間、灰斗の顔は一気に青白くなていった。
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