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医務室も騒がしいが、その隣の病室も騒がしかった。
「もう!璃里のせいでまだ腕に動かないじゃん!!」
腕にギブスを巻いた要が文句を言う。
「自業自得です。しかも何で貴方が隣なんですか?非常に不愉快ですね」
ベッドに寝ている璃里はつんと顔を背けた。
「何ですってぇ!!」
「要!うるさい!傷に響くだろう!!」
「朱姉が一番うるさい…」
叱る朱に仄が潔くつっこんだ。
「はぁ、病室変えて」
粳が煩わしそうに言う。
「同感です」
巍椏は痛む足を押さえながら言った。
「巍椏さん大丈夫ですか?!ちょっと、そこの二人!静かに」
「お前が黙れ」
見舞いに来ていた顋に阿修羅が呟く。
「なっ…」
「まぁまぁ落ち着いてくれ」
堊爽がスットプをかける。
「堊爽がいてよかったぜ…」
蘿挧は溜め息を一つ吐いた。
「てか、なんで部屋に帰してくれないの?」
凪が首を傾ける。
「豐が治療しやすいからだって。だから特別な奴以外ここで安静」
顋と同じく見舞いに来た珱が説明した。
「豐ってめんどくさがりやね」
「誰も逆らえないのが不思議なんだけど」
病室にいた皆が頷いた。
あの闇よりも黒い笑みには誰も勝てる訳がない。
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