終焉

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  「陽飛、大丈夫か?」 後ろから网菜が声を掛けてくる。 「ああ、ちょっとくらっときただけ…」 「まだちゃんと怪我も治してない所にあれやもんな。無茶したらあかんで」 李无は陽飛を車椅子に座らせた。 「ありがとう。うー…やっぱ片腕だとバランスが難しいなぁ」 陽飛は左腕を見た。 何度見てもない。 「白剣ももらったけど…どう使おう」 半分だけの逆十字架を取り出した。 「封」 ぱあっと白剣が光り、逆十字架に吸い込まれていく。 形を変えて、銀色になった逆十字架が掌に落ちてきた。 「鎌なら扱えるけど…」 「あっ、陽!」 城の方から犖無が駆けてきた。 「ん?」 「豐が呼んでた。怪我は治ってるけど一応診るって…」 「分かった。ありがとな」 微笑みながら陽飛は犖無の頭を撫でた。 豐も心配性だなと思いながら、車椅子を医務室に向けた。 「後、季里阿と珠璃が貴方に会いたがってるわよ。人気者ね」 「いつの間に…」 木にもたれていた翠が扇で城を指した。 「んじゃあ、後で…」 「明日にしろ。今日は休んだ方がいい!」 网菜が必死で止めてきた。 「いや、でも」 「泣くぞ」 「…そうさせていただきます」 渋々といった陽飛の返事を聞いて、网菜は安堵の溜め息をついた。
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