終焉

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      「さて、陽飛さん。腕の事で話があります」 豐が真剣な顔をして見つめてきた。 「…はぁ」 服を着ながら返事をする。 少々難があったので、网菜が手伝ってくれた。 今日はやけに優しい。 「では、これを見てください」 豐は机に置いてあった布を手に取った。 しゅるっと布を開けた。 そこには、色んな管が絡まっているが、手の形をした機械。 「巍椏さんが造った義手です。まだ剥き出しで、手首までしかありませんが…。部屋にあったのを持ってきました」 陽飛は義手を持って、まじまじと見た。 「巍椏さんは生きていた頃に大学でそういうのを研究していたそうで、たまに造ってるんです。部屋が散らかりますけど…」 豐は困ったように笑った。 「へぇ」 義手を豐に返した。 「一本では困るでしょう?」 「まぁ…ね」 かなり歩きずらかったし、双剣も使えない。 「巍椏さんによると、多分一週間くらいで出来ると。顋さんも手伝ってくれるそうで、早く済むみたいです。 それまで我慢してくださいね」 「我慢も何も充分!」 義手だが、腕が出来るのだ。 これは嬉しい。 「巍椏と顋によろしく言っといて」 「分かりました。あっ、腕の長さを測りますね」 豐はメジャーを手にして、微笑んだ。 「そういえば、冥王は義手にしないの?」 「機械の腕なんぞ嫌だ。と断わられました」 「あ…そう」 まぁ、あまり動かない立場なので必要ないだろう。
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