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昨夜に出た熱も下がり、陽飛は松葉杖をついて季里阿の部屋に向かった。
「歩きにくいな…この」
足も怪我しているので、なかなか前に進めないでいた。
そして、扉の前に立つ。
「ふー…着いた。
えと、暗証番号は14159……」
ピピッと暗証番号を押して鍵を開けた。
「入るからなぁ」
遠慮なく部屋に入った。
「返事した覚えないよ?出来れば顔も見たくないのにさ」
ベッドで本を読んでいた季里阿は嫌な顔をした。
「何言ってんの。俺に会いたがってたくせに」
椅子を適当に持ってきて座った。
「その言い方気持悪いよ」
「こっちだって野郎に言って寒気した」
季里阿は溜め息をついて本を閉じる。
「で、俺に何か用?」
「……その腕…ボクをかばって食われたらしいね」
季里阿がぼそりと呟いた。
「まぁな。でも気にすんな。当然の事をしただけだし」
「いや、別に気にしてないよ。陽飛君が勝手にした事だしね。てかむしろ、いい様だと思ってるから」
ひょうひょうと言う季里阿に、陽飛はがくっと肩を落とした。
「おーまーえーなー…」
「あーでも、一応………ありがとうね」
最後の一言はとてつもなく小さかったが、はっきり聞こえた。
「後、色々酷いことしてごめん…。大事な人を殺してしまったし、町も滅茶苦茶にして、君の仲間を沢山傷付けた」
もう何がしたかったのかよく分からない。
あれはただの殺戮だ。
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