493人が本棚に入れています
本棚に追加
/350ページ
沈黙が流れた後、陽飛は口を開いた。
「姫羽や仲間を殺した事は許せない」
季里阿はびくりと体を震わせた。
「でも、過去に死神もした事だし。片付けるには簡単だけど、おあいこってやつ」
陽飛は微笑んだ。
[いくら何でもおあいこは簡単過ぎるでしょ。沢山死んでるのにさぁ]
[綺麗にまとめたのに文句言うな!]
口出ししてきた髏雨に怒鳴り、陽飛は咳払いした。
「とにかく、ただの上級死神の俺が言うのもなんだけど……許す」
季里阿の体から力が抜けた。
「回りくどい言い方しないでよ。心臓に悪い」
胸を押さえる季里阿ににやりと笑った。
「ちょってした冷やかしだ」
「……」
ぶすっとした顔をした季里阿は、何か思い出したように見開いた。
「あっ…」
「どうした?」
「ええと…非常に申し上げしにくいんですが……」
冷や汗をだらだら流す季里阿に首を傾げた。
「鬼殺の妖気でいろいろ歪みがおおじたかもしれないんだ…」
「……はい?」
「つまり、鬼殺の強い妖気で異界との亀裂が入ったかも…ボクが小さい時にあったし……」
「つまり?」
陽飛の表情が険しくなる。
「あちらの方から沢山の鬼がおでましに…あはは」
誤魔化しに笑う。
「あはは、俺らがそら頑張らんと……………………………じゃねぇ!テメェは歪みを直してから帰れ!ボケェ!!!」
陽飛は季里阿を蹴り飛ばした。
最初のコメントを投稿しよう!