終焉

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  「で、お前はどこに行こうとした」 疲れたのでそろそろ止めた。 「季里阿が終わったから、次は珠璃」 「終わったらちゃんと寝るんだぞ」 「はいはい」 こういう時の网菜は異常に過保護だ。 「確かここだよな」 すると、中から話声が聞こえてきた。 「いいだろう…だが、けして楽ではないぞ?」 朱蛇螺によく似ている声。 「って、幽王?!」 「何だ。来ていたことを知らなかったのか?」 こくっと頷いた。 「覚悟は出来ています」 何やら、相談をしているようだ。 「おい、何をしている」 背後からした声に、二人は声もなく飛び上がった。 後ろには灰色の狼。 それが、人型をとった。 「えーと、確かおっさんの兄貴の」 「冰牙だ」 「あっそうそう。それだそれ」 あまり面識がないので忘れてた。 「珠璃に会いにきたんだけど…」 「今は瑪瑙様が大事な話をしている。後にしろ」 「勿論です」 返事をして、陽飛は冰牙をまじまじと見た。 荼清を思い浮かべながら似てない兄弟だなぁ。と、思った。 「何だ」 「いえ、別に…」 というか、雰囲気からしてまったく違う。 こっちは怖い。 おっさんって呼んだら八つ裂きにされそう。 などと、どうでもいい事を考えていた。
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