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「いいに決まってるだろ」
陽飛は掌に霊力を集めた。が、その手を网菜が掴んだ。
「駄目だ!お前はまだ不安定。そんな状態で魂の一部を切り離すなんて駄目に…!」
陽飛は网菜の頭をぽんと叩いて、なだめる。
「もう大丈夫だって。少しの間だけ」
やんわりと掴んでいる手を剥がした。
网菜は深く溜め息をついた。
「てな訳だから、手短に頼むわ」
陽飛は珠璃にそう言って、胸に霊力を叩き込んだ。
すると、陽飛の中から出てきた清隆がずさっと床に転がった。
『いたた……呼び掛けてからしてよ』
「んな、ヒマねぇよ」
陽飛はがくっと膝をついた。
「ほら、さっさと行ってやれ、俺らは…外にいる」
目で网菜に合図した。
网菜は渋々といった様子で、陽飛を担ぐ。
「本当に手短にな」
びしっと指差し、扉を開けた。
「ごゆっくり~…」
最後に陽飛はひらりと手を振った。
パタンと扉が閉まる。
『どっちだよ…』
そんな二人に溜め息をつき、清隆は珠璃に歩み寄った。
『…怪我、大丈夫?』
「……うん」
二人の会話はぎこちない所から始まった。
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